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下鴨神社「糺の森」を通る行列

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葵祭の主役「斎王代」が乗る神輿
 午前10時半に京都御所を静々と出発した葵の行列は、下鴨神社に向かう道に入った。
 舗装された近代的な町並を歩く平安の行列というのも、不思議なアンバランスさがあって面白い。

 下鴨神社の糺の森(ただすのもり)は、頭上高く木々が並び、新緑の屋根に日光を遮られて晴れていても薄暗い場所である。当日は曇り空だったから、室内にいるような暗さになっていた。
 行列の先頭を行く人が「フラッシュを焚かれると馬が驚いて暴れます」と注意を呼びかける。にもかかわらず、やってくる馬は容赦の無いフラッシュ攻撃に晒されている。自分のコンパクトカメラが自動的に光ってるなんてことを、おばさん達は知らないのだ。気が立って暴れる馬を、何とかなだめようと手綱を引く人が気の毒になる。

 行列が下鴨神社に到着し、一般公開されていない神事を執り行っているころ、空は一段と暗くなり、我慢しきれなくなったように雨が落ち始めた。
 にわか雨程度に、ゆっくりと降り始めた雨だったが、徐々に勢いを増して京都の街をぐっしょりと濡らしていった。

 結局、祭は下鴨神社で中止になった。葵祭は春の雨に行く手を阻まれることも少なくないのだそうだ。この10年で実に5回も、雨のための中止や順延に見舞われている。
 祭の人出を当て込んだ弁当売りや、近くの商店などは商売あがったりだというふうに早々に後片づけを始めた。

 一年に一度、下鴨神社からの華やかな行列を心待ちにしていた上賀茂神社は、ふられてしまった格好だ。
 こうして二十世紀最後の葵祭は終わった。来年こそは、春の木漏れ日の加茂街道をゆく斎王代の姿を見てみたい。


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