ユーラシア一周 (2001年)

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線路上に立つ市場?

ダッカの街の線路沿いには、広大なスラム街が広がっていた。何万もの人が竹と布で作ったあばら屋に住み、日雇い労働やゴミ回収で何とか生計を立てていた。水はけも衛生状態も悪く、ひどい臭いが街全体を覆っていた。  そんなスラム街に一風変わった市場があった。列車が通るレールの上に売り物を並べて商売をしているのだ。  市場の男達は次の5つの行動パターンを繰り返していた。 1.レールの上で野菜を売り買いする。 2.列車の接近を知らせる汽笛が鳴る。 3.慌てて商売道具を撤去する。 4.列車が通過する。 5.再び売り物をレールの上に戻す。  東京の山手線ほど頻繁ではないにしても、この線路を通過する列車の本数は決して少なくはない。だから、男達は15分に一度の割合でこのパターンを繰り返していた。  しかし、どうして彼らが危険を冒してまで、レールの上で商売をしなくてはいけないのか、僕には最後までわからなかった。やっている本人達が大真面目な分、余計におかしかった。  バングラデシュは、僕のささやかな常識では計り知ることのできない摩訶不思議な出来事が、いろいろと起こる国だった。

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