武器商人の眼光 (パキスタン 2001)
ペシャワール近郊のダラという町には、銃砲店ばかりが軒を連ねていた。この町の中ではパキスタンの法律が通用しないので、銃を自由に売り買いできるのだという。
「私はアフガニスタンの軍事政権タリバンのメンバーだ」
と店主は誇らしげに言った。イスラム帽を被り、顎には立派な白髭を蓄えた威厳のある男だった。
タリバンがバーミヤンの仏像を爆破したというニュースは、インドにいるときにCNNのニュースで知った。僕には彼らの行為がどうしても理解できなかった。何故ムスリムが仏教の遺跡を破壊しなければいけないんだ?
しかし粗野なタリバンのイメージと違って、店主はとても紳士的な男だった。物腰はとても丁寧で、異教徒である僕に対しても親切にお茶を振る舞ってくれた。写真を撮ってもいいかと訊ねると、ライフルを手にしてポーズまでつけてくれた。
それでも、ファインダー越しに見える彼の眼光は、威圧的で鋭いものだった。長く武器商人として生きてきた男の無言の迫力が、その瞳の奥にはっきりと感じられた。