ラクダでいるのもラクじゃない (エジプト 2001)
この旅の中で、僕は数多くの市場を訪れたけれど、賑やかさという点でカイロ郊外のラクダ市に勝るものはなかった。
なにしろ体高が2mをゆうに超える巨大なラクダが、200頭以上も集められているだけでも圧巻なのに、そのラクダ達がそれぞれ飛び跳ねたり、吠えたりするものだから、市場の中は常に騒然とした空気に包まれているのだ。
仲買人達のラクダの扱いは相当に荒っぽかった。片足を紐で縛って自由を奪った上に、言うことを聞かないラクダがいると、長い竹の棒で容赦なく叩くのだった。叩かれたラクダは空に向かって「グォーー」と吠え、腹いせに小便を撒き散らしたりする。一見おとなしそうに見えるラクダだが、反抗的で頑固な面もあるのだ。
ラクダでいるのも、案外ラクじゃないのかもしれない。