村の一角では、杖を手にした老婆が大勢の人々を前にして大声を張り上げていた。老婆は映画「十戒」のモーゼのように両手を広げ、目を見開き、天を仰ぐ。何を言っているのかはさっぱりわからなかったが、おそらく神のお告げか何かを村人に伝えているのだろう。老婆のテンションは徐々に上がり、それにつられて身振りも大げさになっていった。そして儀式の最後には、その高まった熱を冷ますかのように、大きな瓶に汲んだ水を頭からざぶんとかぶった。