グジャラート州ヴェラワルの港で、思いがけない光景に出会った。一隻の漁船が沈もうとしていた のだ。
老朽化しているらしいその船は、夜のあいだに船底に穴が開いたらしくて、甲板の上まで水が上が ってきていた。もちろん船員たちは懸命にバケツを使って水をかき出したり、ロープを使って綱引 きみたいにして船を引っ張ったりしているのだが、浸水が収まる気配はない。
写真を撮っている僕に「お前も手伝え」と声がかかったので、僕も力を貸したのだが、小型ボート じゃないんだから、男が20人がかりで引っ張ったところでなんともしようがない。
こんな危機的状況にあるというのに、船員たちには切迫感がなかった。しゃーないなー、ボロ船だ もんなぁ、という感じで、半ば諦めてしまっているようである。確かにボロい船ではあったのだが 。