ネパールの地酒ロキシーをご馳走になっている時、外で大きな声がして、家族全員が外に飛び出していった。
何事かと思って出てみると、女達がいまいましそうに空を見上げていた。そこはトンビが悠々と空を舞う姿があった。
「あいつが大切なヒヨコをさらっていったのよ」
と奥さんが悔しそうに言った。トンビに向かって小石を投げつけてはみるが、もちろんそんなものは足元にも届かない。空は鳥たちの領分なのだ。鶏は財産であり、それを奪われたことが腹立たしくてならない様子だった。
この出来事は終日話題の中心だった。僕にはそれが平和の証拠であるように思われた。