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ゴールの町で不思議な光景を目にした。瓦礫の山と化した家々のそばに、ヒンドゥー教の神様の彫像が二体まったく無傷で立っていたのである。津波の後に修復されたのかとも思ったが、そうではないらしい。 「これは奇跡ですよ」 シャベルを手にして後片付けをしていた若者が、手を休めて説明してくれた。 「像を囲んでいた壁はボロボロに崩れているのに、この像には傷ひとつ付かなかったんですからね。しかも崩れた壁と像との間には、指一本入らないほどの隙間しかない。奇跡ですよ」
彼は何度も「イッツァ・ミラクル」と言った。確かに像が何かの力で守られていたのだと言われれば、そう信じたくなるような光景ではあった。
このような仏像や神像にまつわる小さな奇跡の物語はここだけにとどまらず、あちこちで耳にした。「最初の津波が来たとき、ちょうど神棚にまつられている仏像の足元で、ぴったりと増水が止まったんだ」とか、「壊れた家財道具を整理しているときに、衣服に包まれて無傷の仏像が出てきた」といった話である。 「津波が起こった9時30分は、いつもならまだ寝ている時間なのよ。でも、その日は仏教徒にとって大切な満月の日だったから、お経を読んでいたの。だから津波に気付くことができたのよ」と言うおばさんもいた。人々はそれぞれの身に起きた奇跡の物語を信じ、そこにある種の救いを求めているようだった。
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